〜「安い土地」には理由がある。契約前に知っておきたいポイント〜
土地探しをしていると、「この土地、相場よりかなり安い!」という物件に出会うことがあります。
しかし、建築会社や工務店があまり積極的に勧めてこない土地には、必ずと言っていいほど“理由”があります。
もちろん、全てが悪い土地というわけではありません。
ただし、建築のプロから見ると「工事が難しい」「追加費用が読めない」「法的制限が厳しい」といった、“建てにくい土地”が存在するのも事実です。
今回は、建築会社が嫌がる土地の特徴について、住宅営業・設計・造成の現場目線で解説していきます。
① 高低差が大きい土地
建築会社がまず警戒するのが、“高低差のある土地”です。
道路と敷地に1m以上の高低差がある場合、擁壁(ようへき)工事や造成工事が必要になるケースがあります。
特に注意が必要なのが、古い擁壁です。
・擁壁にクラック(ひび割れ)がある
・確認申請時の検査済証がない
・鉄筋が入っていない旧基準擁壁
・大谷石擁壁
こういった場合、建築確認申請時に安全性を求められ、最悪の場合は擁壁のやり替えになることもあります。
擁壁工事は数百万円単位になるケースも珍しくありません。
また、高低差のある土地は、
・残土処分費
・土留め工事
・地盤補強
・重機搬入費
なども増えやすく、見積りが大きく変動します。
つまり、“最初は安く見えても、最終的に高くなる土地”の代表例です。
② 接道条件が悪い土地
建築基準法では、原則として
→幅員4m以上の道路に2m以上接していないと建物を建てることができません。
これを「接道義務」といいます。
建築会社が嫌がるのは、
・道路幅が狭い
・42条2項道路
・43条但し書き道路
・旗竿地
・私道トラブルがある土地
などです。
特に狭隘道路(きょうあいどうろ)の場合、セットバックが必要になり、有効面積が減るケースがあります。
例えば
→40坪の土地でも、実際に使える部分は35坪程度しかないこともあります。
さらに、道路が狭いと工事車両が入れません。
すると、
・小型重機しか使えない
・材料を人力搬入する
・足場費用が高くなる
など、施工コストが上がります。
住宅会社としては「利益が読みづらい土地」になるため、慎重になるケースが多いです。
③ インフラ整備がされていない土地
土地価格だけ見て購入すると、後から驚くのがインフラ費用です。
例えば、
・上下水道未整備
・浄化槽エリア
・前面道路に本管がない
・都市ガス未整備
などのケース。
特に水道引込工事は高額になりやすく、道路掘削が必要になると数十万円〜100万円以上かかることもあります。
また、浄化槽エリアでは、
・浄化槽本体
・放流工事
・維持管理費
も必要です。
土地代だけ安くても、インフラ整備費込みで考えると、結果的に割高になるケースはかなり多いです。
④ 地盤が弱い土地
建築会社が特に嫌がるのが、“地盤リスクが読めない土地”です。
例えば、
・田んぼを埋め立てた土地
・造成したばかりの分譲地
・川沿い
・盛土エリア
などは要注意。
地盤調査の結果によっては、
・表層改良
・柱状改良
・鋼管杭工法
などの地盤補強工事が必要になります。
地盤改良費は50万〜200万円以上になることもあります。
しかも、地盤は調査してみないと分からない部分が多いため、建築会社としてもリスクが高いのです。
最近では盛土規制法の影響もあり、造成地へのチェックも以前より厳しくなっています。
⑤ 法的制限が厳しい土地
土地には、さまざまな法的制限があります。
例えば、
・市街化調整区域
・土砂災害警戒区域
・埋蔵文化財包蔵地
・農地転用が必要な土地
・建築協定エリア
など。
こういった土地は、
「そもそも建てられるのか」
「許可が必要なのか」
「希望の建物が入るのか」
を事前確認しなければなりません。
特に市街化調整区域は、誰でも建築できるわけではありません。
住宅会社側も役所調査や行政協議が必要になるため、かなり神経を使います。
⑥ 字型(形)が悪い土地
一見見落としがちですが、変形地も建築会社は苦手です。
・三角形
・極端に細長い
・台形
・旗竿地
などは、間取り制限が大きくなります。
さらに、
・駐車計画
・採光計画
・斜線制限
・隣地離隔
なども難しくなるため、設計に時間がかかります。
結果として、
「建物は入るけど、理想の間取りにならない」
というケースも少なくありません。
まとめ
建築会社が嫌がる土地には、共通点があります。
それは、
「追加費用が読みにくい」
「法的リスクがある」
「施工難易度が高い」
という点です。
ただし、逆に言えば、こういった土地は価格が安いケースも多いため、内容を理解した上で購入すれば“掘り出し物”になることもあります。
重要なのは、土地価格だけで判断しないこと。
・造成費
・地盤改良費
・インフラ費
・法的制限
・有効面積
まで含めて、総額で判断することが大切です。
土地探しでは、不動産会社だけでなく、建築会社にも早めに相談するのがおすすめです。
「建てられる土地」と「理想の家が建つ土地」は、実は少し違います。

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